ピース又吉が芥川賞を獲得した本当の理由

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出典:毎日新聞

おはようございます。
昨日は驚きましたね。
お笑い芸人の「ピース又吉」こと、「又吉直樹」氏が、第153回芥川賞を受賞したということで話題になりました。

今日はこの件を取り上げてみたいと思います。
レッツゴー・ウンチキスト

そもそも、芥川賞とは

並んで称される

直木賞と芥川賞。何が違うのか。

芥川賞=純文学(芸術・形式重視)の新人作家
直木賞=大衆文学(娯楽・商業性重視)の新人作家

ですね

もっと詳しく:芥川賞とは

芥川龍之介賞
新人作家による発表済みの短編・中編作品が対象となり、選考委員の合議によって受賞作が決定される。受賞者には正賞として懐中時計、副賞として100万円(2011年現在)が授与され受賞作は『文藝春秋』に掲載される。

芥川賞の主催は?

だれが、この賞を作り、賞金やらを渡しているのか?
国じゃないよね??うーん。

答えは、

公益財団法人 日本文学振興会

これって、文藝春秋の社内にあるんですね。
なので、受賞作は『文藝春秋』に発表されるわけです。

芥川賞になると、何がもらえるの?

受賞者には

正賞「懐中時計」
副賞「100万円」

が授与されます。
しかし、100万円や時計よりも遥かに重く、すごいのが

一生「芥川賞作家」と言われ、作家としての箔がつくんですね。

ちなみに、懐中時計は設立当時から「賞牌(しょうはい)」として贈られました。
初回の副賞は500円だったというから、賞金は2,000倍に増えましたね。

芥川賞はいつからそんなに凄い賞になったのか

芥川賞・直木賞共にそれほど初期はジャーナリズムに取り上げられるものではなかったそう。

1955年に受賞した遠藤周作の話によれば「ショウではなく、ほんとに賞だった」と話題性が低かったことを伝えています。

また、授賞式も、新聞関係と文藝春秋の社内関係者が10名ほど集まるだけの極めて小規模のものだったそう。

しかし、転機になったのはきっかけがありました。
それが1956年に受賞した「石原慎太郎」の『太陽の季節』。

作品の内容が派手だったこと、また、学生作家でもあったこと、石原裕次郎の兄だったことなどが相まり、受賞作は大きな話題を呼び、また、「太陽族」という流行語が生まれ、「慎太郎カット」がブームになりました。

まさに文字通り「慎太郎ブーム」・
これ以降、芥川賞・直木賞がジャーナリズムに取り上げられるようになったのです。

話題の人を選ぶのは大切なのです。
また、だからこそずっと石原慎太郎は選考委員をやっていたのでしょう。

芥川賞の選考委員

芥川賞の選考委員は全部で9名
全員が小説家だが、島田雅彦と山田詠美は芥川賞の候補にはなりましたけれど、受賞はしていない。(その他7名は受賞者)

小川洋子 53歳
奥泉光 59歳
川上弘美 57歳
島田雅彦 54歳(芥川賞候補6度、最多タイ)
高樹のぶ子 69歳
堀江敏幸 51歳
宮本輝 68歳
村上龍 63歳、映画監督
山田詠美 56歳(芥川賞候補4度か)

およそ50歳中頃から70歳までの人たちが集まって9人で決めているってことなんですね。

正直言うと、私は村上龍と山田詠美しか知りません…。

そもそも、芥川賞受賞候補ってどうやってきまるの?

だって、忙しいでしょ。委員の方も。
発売された何冊もの文学をすべて読むわけじゃあるまいし。

ここでびっくりしたんだけど…なんと…

「文藝春秋の社員20人で候補作を決めてます!!!」

ええーーーーー!!

形式的には日本文学振興会から委託という形で。
ま、そもそもこの日本文学振興会自体が、文藝春秋社内にあるからね。

実際、公益社団法人日本文学振興会は文藝春秋社が作ったんでしょうね。

さて、その候補作を選ぶ文藝春秋社の社員20人を「選考スタッフ」と呼ぶそうな。

そして、この20人は5人ずつ、「4つの班」に別れます。

で10日に1回のペースで、3~4作品が割り当てられます。

1班 A B C
2班 D E F
3班 G H I J
4班 K L M N

という感じですね。
班のメンバーはこの自分の班に割り当てられた作品を読みます。
そして

1班ならば、

A ☓
B ○
C △

というように、採点をあらかじめ行って、会議に行きます。
これを「班会議」というそうです。
これで良かったものを「本会議」に持って行きます。

「本会議」も、同じく10日に1回、同じようにやります。

本会議

1班 B 推し
2班 推薦なし
3班 推薦なし
4班 K 推し

話し合い → Bを残そう(あるいは、今回は残なし)

このように、班会議→本会議をセットにして6-7回行います。
つまり、選考には60から70日、つまり2ヶ月から2ヶ月と10日かかるということですね。

1回あたりMAXで16作品を検討、これを7回やるとして112作品をチェックできるということですね。

実際リリースされる作品ってその程度ということなのでしょう。
それで最終的には5-6作品に絞り込みます。

それが「芥川賞候補」となります。

芥川賞ってよくやっている気がするけど、年に一回でしょ?

いえいえ、年に二回です。
年に二回、二名ずつが選ばれます

ただ、1人や該当者なしの場合も。
最近では2011年上期の第145回は該当者「なし」でした。

芥川賞の選考会はどこでやるのか?

なんと、選考会は料亭でやってるんですよ。
料亭ですよ。なんともまぁ、ゴージャスじゃないですか。

具体的には、その料亭は築地にある…

新喜楽(しんきらく)

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ここの一階で行われます。
ちなみに、直木賞の選考会はおなじ新喜楽の二階。

新喜楽[築地]、金田中[新橋]、吉兆 は「日本三大料亭」と言われるそうです。

吉兆は船場吉兆が大事件を起こしてひどいことになりましたしね。

船場吉兆の不祥事といえば、

消費/賞味期限切れの菓子・惣菜の販売
地鶏の産地偽装
みそ漬けの産地偽装
無許可での梅酒製造及び販売
客の食べ残しの再提供

しかも、船場吉兆側はこの一連の偽装を「パートの女性らの独断によるもの」と自らの責任を回避しようと画策していたという…。最低や…。

http://bit.ly/2jmr5g9
でも、上記になる吉兆は暖簾分けで沢山あるけどこの3大吉兆は「京都 吉兆」のことらしいです。

2017/1/18追記:いろいろな吉兆

Wikipediaによると、1991年に創業者の貞一が息子や娘婿たちを暖簾分けの形で独立させたそうで、それぞれ下記のようになっているようです。それにしても5人もお子さんがいたんですね。創業者の貞一さんには。

長男=本吉兆、

長女の婿=東京吉兆

次女の婿=京都吉兆

三女の婿=船場吉兆

四女の婿=神戸吉兆

を継承した。

さて、話を戻して…。

では、本当の芥川賞の選考はどうやるの?

先ほどと同様、選考委員の9名は対象となる5から6作品をあらかじめ読み込み、

「○、△、☓」

の3つによる採点をしてきます。

最初に各委員が評価を披露した上で、審議が行われます。

…ということになっています。

でも、実際はどうなのか。
ちょっと妄想してみました…。

完全妄想:芥川賞審議

おことわり:完全に妄想です。

完全妄想:芥川賞審議 その1

司会:「それでは、まず、山田詠美委員より、評価と寸評をお願いします」

山田:「はい、じゃ、候補作1番から○、☓、△、△、△、○です。やっぱりピースの又吉くんのは良かったですよねぇ。鬼気迫るっていうか。荒削りではあるけど、魂を感じました。あとは…6番の羽田くんのですかね。こちらは対照的に美しさがあるというか…」

司会:「ありがとうございます。評価の確認ですが、番号順に○、☓、△、△、△、○でよろしいですね。では、次に島田雅彦委員お願いします。」

うーん、なんか違うな、こんな感じに決めてないわ。
料亭だもん(笑)

やりなおす(笑)

完全妄想:芥川賞審議 その2

きっと司会はいないな。多分いちばん年長者が仕切るのでしょう。

最年長の高樹のぶ子さんか、あるいは「男性がやって」とか言われて宮本輝さんか。宮本さん説でいこうかな。

宮本:「それじゃぁ、今回の評価だけ先にお願いしますよ。そこから右回りで。シートに書いていきますかね。」

堀江:「○、☓、△、△、△、○」
小川:「△、☓、○、○、△、○」


うーん、ご歴々たちがこんなめんどくさいことを、体系的にやらないかな。
文系のひとばっかだし。もう一回やるわ。

完全妄想:芥川賞審議 その3

宮本「じゃぁさ、とりあえず、一番良かったのとダメだったの言ってきましょう。じゃぁ、若い人からおねがいしますよ」

堀江「一番は又吉君、外すのは内村君かな」

宮本「又吉くんかぁ…外すのは、内村くんねぇ。はい、次」

小川「私は羽田さんが良いと思いましたね。外すのは良かったけど内村さんで」

宮本「羽田アゲの内村オチね、はい次」

島田「私も羽田君が一番かと。外すのは滝口君かなぁ」

宮本「羽田アゲ、滝口オチ、はい次」

……

宮本「まとめると…とりあえずアゲは「羽田、又吉、島本」
オチは「内村、高橋、滝口」でいいかな???」

宮本「じゃぁ、あとは3人からどう絞るかだが…」

☓☓「正直なところ、又吉は外す理由がないですよね」

☓☓「まぁねぇ、話題性があるからなぁ…」

☓☓「でも、また水嶋ヒロの『KAGEROU』みたいに叩かれると…」

☓☓「いや、ポプラ社小説大賞といっしょにするのはおかしいだろう」

☓☓「実際、読みました?又吉くんの…」

☓☓「えぇ、まぁ、ざっくり」

☓☓「ざっくりって(笑)だめですよ、ちゃんと読まないと」

☓☓「いや、なかなかいいですよ。」

☓☓「いや、ぶっちゃけていうとさ、いいかどうかじゃなくて、選んだ時に八百長と言われないか、ですよ。又吉くんを選ぶのが文学会にとってはいいに決まってるんだから」

☓☓「まぁ、石原慎太郎さんの例もあるからねぇ」

☓☓「実際、又吉くんの本、過去最高に売れているわけですよ。候補作になって、更に増刷した。実際商業ベースでも支えられている。彼を選んで我々が非難されることはないでしょう。」

☓☓「ねぇ、ちょっとまって、これってそういう賞じゃないでしょう?純文学として適切かどうかを選ぶべきですよね」

☓☓「でも、キレイ事ばかりも言ってられないでしょう」

☓☓「いや、でも…」

☓☓「そういうあなたも、文学会の発展を望んでいるのでしょう?そもそも、賞とはそういうものだよ。いろいろな思惑があってだね…」

☓☓「でも…」

☓☓「まぁまぁ、ひとまず料理を食べながら…」

……

宮本「まぁ、では羽田くんと又吉くんでよろしいですかね?あくまで先に羽田くんそして又吉くんで」

宮本「はい、それじゃ、これで広報に流しますよ。あとは、存分に料理をおいしく味わっていってください。ではもう一度カンパーイ♪」

☓☓「いやぁ、明日の新聞楽しみですよ。ネット配信では絶対又吉一色になりますよね。」

完全妄想の芥川賞決定プロセスでした(すべてフィクションです)

芥川賞の記者会見と授賞式はどこでやるのか?

さて、話を真面目に戻して…。

長く東京會舘で行われていました。
しかし、建て替えをしているために、現在は

帝国ホテル

で行われています。

ピース又吉っていまさらだけど誰?

ピース又吉を全く知らないという人は少ないでしょうけど、どんな人なのか、これまたおさらいをしてみましょう。

1980年大阪府寝屋川市生まれ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑い芸人。コンビ「ピース」として活動中。

又吉直樹 Wikipediaより

又吉 直樹(またよし なおき、1980年6月2日 – )は、日本のお笑いタレント、脚本家、小説家であり、ピースのボケ担当である。
大阪府寝屋川市出身

大阪府寝屋川市で、4歳年上と3歳年上の姉の下に生まれる。
国語の実力テストの知能偏差値75で全国トップになったことがある。

趣味は散歩と読書で、通算2,000冊以上も本を読んでおり、活字が躍りだす夢を見るほどの読書家。

好きな作家として、太宰治、芥川龍之介等を挙げている。

「太宰治ナイト」「松尾芭蕉ナイト」などのイベントを主催している

以前に三鷹市下連雀の築60年以上の風呂なしアパートに住んでいた時期があったが、過去に読んだことのある「太宰の家から吉祥寺への行き方」と同じであったため三鷹図書館で詳細に調べてみると、その住所が太宰家の旧住所にあたることが判明した。

神保町に通っており、現在でも古本屋巡りなどをしている。
過去に1度古本屋の店主などと並び「神保町の10人」に選ばれたことがある

〈作品〉
『カキフライが無いなら来なかった』2009年幻冬舎刊(自由律俳句集 共著)
『まさかジープで来るとは』10年幻冬舎刊(同 共著)
『第2図書係補佐』11年幻冬舎よしもと文庫刊
「そろそろ帰ろかな」別册文藝春秋12年5月号
「夕暮れに鼻血」別册文藝春秋12年9月号
『鈴虫炒飯』12年幻冬舎刊(創作四字熟語集 共著)
『東京百景』13年ワニブックス刊
『火花』15年文藝春秋刊=第28回三島由紀夫賞候補
『芸人と俳人』15年集英社刊(共著)

なぜ、共著が多いのか…書かずに妄想にとどめておきます。

正直出版会の思惑はあるのか?

妄想で「出版界の思惑」について書いたようなものですけど…

活字だけの市場は縮小傾向にあります。
昔は、絵や画像を扱うことが難しかったという現実的な側面もあり、文字での伝達が簡単でした。

しかし、今は時代がかわって動画の時代。

ニコ生では生主が活躍し、
YouTubeではユーチューバーなる億万長者が生まれています。

そういう中で、少しでも文学への親しみを増やして欲しい、そのための目立つアイコン的なものが欲しいという考えがあるのは当然でしょうね。

選考委員は全員が作家。
当然、文学会が盛り上がる人を選ぶ必要があるし、自分が生きるための方法でもある。

当然、あるでしょうね。
ただ、やっぱりそれにふさわしいレベルであったのも事実でしょう。

実際、今回はポプラ賞の時のような話は聞きませんし、ね。

今日は、又吉さんの芥川賞受賞から、少し芥川賞近辺を調べてみました。
また明日!

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