こんにちは京野です。
少し最近世間をさわがせた「亞書(あしょ)」、ご存知でしょうか。
国会図書館の「納本制度」を悪用して不正に儲けていたのでは、と言われている話について書いてみました。
レッツゴー・ウンチキスト!
今回の「亞書(あしょ)」問題点まとめ。
国会図書館は、税金を使って、国内で出版されたすべての本を集めることになっています。
その際、発行者は定価の半額を受け取ることができるんですね。
この制度を使って、売れない本を高額な定価設定にし、国会図書館に購入させる手法を使って、荒稼ぎしていたのではないかという出版社が問題になっています。
具体的なやり方はこうです。
- 1冊定価64,800円の本を出版する。(オンデマンド印刷などで2冊ほど印刷か)
- Amazonで1冊のみ販売し(Amazonでの販売は正規の手続きを踏めば誰でもできる)「一般販売された」という根拠を作る。
- 上記をもとに、国会図書館に納品し、1冊につき定価の半額(32,400円)を受け取る。
- すでに42冊が納品され、136万円が発行者に支払われた。
- 昨年も同様の手法で400万円以上がこの発行者に支払われている。
この手法は…詐欺でも使える?
この手法が詐欺であったのではないか、と世間をにぎわせました。
この方法がうまいところは、
- 「ページ数は多い(480P)」⇒それなりに高額の理由になる。
- 「装丁がきちんとしている(ハードカバー)」⇒それなりに高額の理由になる。
- 「金額がそこまで法外ではない」⇒10万円を超えていたりすると、さすがに指摘されるそう。
- 内容はめちゃくちゃ(専門家でも意味不明なギリシャ文字などが並ぶ)。かつ、全く同一のページもある。ページ番号も振られていない。⇒しかし、本の内容に対して指摘はできない(表現の自由)
発売元は「りすの書房」ということで、実際この「りすの書房」の所在地にテレビカメラも入ったりしましたが、そこには理髪店があるだけで、出版社の実態はないとのことでした。
看板も数日前までは上がっていましたが、取材が来るようになって外したと。(近隣の人の話)
「納本制度」が悪用された可能性
国立国会図書館の「納本制度」が悪用された可能性があります。
出版社は、日本国内で発行されたすべての書籍、雑誌を収集・保存することになっています。
国会図書館法にこんな記載もあります。
第二十五条の二 発行者が正当の理由がなくて前条第一項の規定による出版物の納入をしなかつたときは、その出版物の小売価額(小売価額のないときはこれに相当する金額)の五倍に相当する金額以下の過料に処する。
つまり、発行者は出版物を納品しないと、過料(罰金)刑になる可能性があるということです。
これまでこのような事件はなかったのか?
これまでも、暴力団的な人が
「この本は100万円だ」
ということを言って、半額を払わせようとしたことはあったとのこと。
しかし、この本はAmazonでも発売しており、一般販売している。
表現の自由から、書かれた内容をもとに「だめです」とは言えない。
実際、国会図書館の担当者がテレビでも、すべての要件を満たしており、NGにできる理由がない、と言っていました。
悪質だと思っていても、それを処罰する理由がない、ということです。
不正発覚の場合は?
今回のケースを法律の専門家に聞くと、「不正が発覚した場合は、支払った金額の返金請求もありえる」とのことでした。
実際、昨年のこの出版社の損益計算書を見ると、収入の部のほとんどが国会図書館より支払われた額でした。
つまり、9割以上が国会図書館からの収入という出版社は、一般販売する意思がないとみられても仕方がないだろうということ。
「亞書(あしょ)」を発売した「りすの書房」ってどんな人がやっているの?
りすの書房は代表取締役の男性(26)が一人で運営しています。
朝日新聞の引用。
「自分が即興的にパソコンでギリシャ文字を打ったもので、意味はない。本そのものが立体作品としての美術品とか工芸品。長年温めてきた構想だった」と説明。
題名も「ひらめいて付けた。意味はない」。
著者のアレクサンドル・ミャスコフスキーは「架空の人物で、作品のイメージとして記載した」と話した。
「すべて」意味がなかったのか…
もう、こういう突っ込みがされることをあらかじめわかっていて、回答を用意していたようにも見えますね。
現在112巻まで作成、最終的には132巻まで出版予定
それでも、これをずっと続けるのでしょうか。
この制度を悪用し、このように発言して、同じように金を得る人も出てくる可能性があります。
どうしたらいいのでしょうか。
納本制度の限界
もう、納本制度自体が限界を迎えてきているのだと思います。
すべての出版物を一か所に集める、なんて土台無理ですし、もっと言えば、実際は出版社によっては、1冊しか買ってもらえず、半額しかもらえないこの制度のために手間をかけたくないとかで、(違法だけど)納品しないケースもままあるそうです。
そもそも、何のためのこの制度だったのでしょうか。
戦後まもなくであれば、事実上検閲のようなこともあったのだと思いますけど
1.誰もが出版できる時代
2.1冊から出版できる時代
このようになった今日、この制度を続ける意味があるのでしょうか。
もうやめてもいいのではないかなと思います。
少なくとも、この手法を禁じる何らかの策が講じられない限り、今後もこの手の手法を取る人は増えていくと思います。
「違法でなければなんでもやる」
って人はたくさんいますからね。
昔は、自分の思いを発表する手段と言えば、本ぐらいしかありませんでした。
今ではwebページで発表できるし、FacebookやTwitterなどのSNSでも発表できます。
書籍だけ集めなければならない理由がありません。
納本制度、もう、やめませんか?
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僕もこの問題には非常に興味を持ちました。
悪用される可能性が高く出版物としての価格に体系立てたものは難しいからです。
しかし、正直言うと一か所にすべての本が集まっているということは非常に魅力的で、文化の保存を目的とすれば必要だとも思えます。
最終的には代償金を払わず納本を義務化する(出版社の義務として、出版社負担で納本する。)もしくは海外の文化財保存制度などを調べもっと良い方法を模索する必要があると思います。