こんにちは。
自分をいかにコントロールするか、自分をいかに洗脳するかなど、セルフコントロールについて、これまでも取り上げてきました。
今日は「職場の怒りにどう対応するか」について
書いていきたいと思います。
私はあまり好きな言葉ではないのですけど、最近は
「アンガーマネジメント」なんて言われるようになってきました。
今日はさわりだけ理解しましょう。
レッツゴー・ウンチキスト!
アンガーマネジメントって何?
アンガーマネジメント(Anger Management)とは怒りの感情を管理することです。
つまり、怒りとは自分の感情でありながらそもそも簡単にコントロールできないものであることがその名前からわかります。
これは、怒りの気持ちを持ってはいけないということではなく、うまくつきあっていきましょうという意味が強いものです。
「仕事ができない部下を見てイライラする」
「上司のあの言い方がムカつく」
「突然の怒りをつい『チッ』と口に出してしまう」
「夫婦喧嘩をして、おもいっきり『バンッ!!』ってドアを閉めてしまう」
「テーブルをドンドン叩いたり、言ってはいけないこと(それはあかんやろ…的なこと)を言ってしまったりする」
こういうことが起こるのも、そもそも、怒りをうまくコントロールできていないことにあります。
※誤字の指摘を頂いた方、ありがとうございました。
そもそも、感情のコントロールの仕方を教わっていない。
私たちは教育課程の中で、(一部の部活動等ではあるにしても)、感情をどうコントロールするか、ということは教わりません。
せめて「我慢しなさい」とか「こういう態度を取れるのがいいですね」などというくらいで、それぞれの資質もあるものなので、コントロールの仕方を教わっていないのです。
言ってみれば、「感情」という車を運転するのに、操縦方法を周りの人間を見て学びなさい、と言われているようなものです。
見て学べ、だけで実際は教わらないのです。
もちろん、筋のいい人は、教わらなくても十分に運転ができるようになるでしょう。
つまり「運転者」の筋が良ければ操縦はできるようになります。
また、「運転者」だけの問題ではなくて、「車」には個体差もあります。
「軽自動車」のようにスピードが出ない車もあれば、「フェラーリ」のように、操縦が難しい車もあります(まぁ、運転したことないけど(笑))。
じゃじゃ馬の車もあるわけです。
つまり、生まれつき感情の起伏に激しい気性です。
そういう人向けにようやく、「車の運転の仕方」=「アンガーマネジメント」が認知され始めたということです。
なぜ、世の中にはアンガーマネジメントしかないのか。
よく考えてみれば、喜怒哀楽、人間にはいろいろな感情があるのに、怒りである「アンガー」しか「マネジメント」論がないのか。
それは「怒り」が人に悪影響を及ぼすから、人間関係に悪影響を及ぼすからに他なりません。
それほど、この、怒りの感情は取扱い注意なわけです。
アンガーマネジメントの第一歩は「怒りの原因を知ること」
アンガーマネジメントについては、改めて時間を設けたいと思いますが、最初に意識すべきことは何か。それは
「怒りの原因を知る」
ということです。
原因を知らないと、対策が打てないからです。
少し、まず、考えてみましょう。
大小は問いませんから、最近あなたに起こった「怒り」について、分析をしてみましょう。
なぜ、あなたは怒りの感情を持ったのか、です。
次からの問いに答えてください
1.最近おこった、怒りの感情を思い出してください。
2.その感情は、いつ、どこで、どんな状況で起こりましたか?
3.その怒りに達した理由は、もっぱらその出来事だけに起因するものですか?それともそれ以前の感情(別の件でイライラしていた、食事前で低血糖だった、以前の怒りを引きずっていた…etc.)にも起因していますか?
4.では、その怒りが起こった原因をまとめてみましょう。
5.その怒りを出すことでのメリットを挙げましょう。
6.その怒りを出すことでのデメリットを挙げましょう。
ちょっと具体的にやってみましょう。
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1.最近おこった、怒りの感情を思い出してください。
えーっと、なにかな、あ、そうそう、部下に怒ったわ。
2.その感情は、いつどこで、どんな状況で起こりましたか?
いつ=今日の午前11時ぐらいだな
どこで=会社の事務所で
どんな状況=入社してもう4か月も経過する部下が、以前指摘したミスを繰り返した。
3.その怒りに達した理由は、もっぱらその出来事だけに起因するものですか?それともそれ以前の感情(別の件でイライラしていた、食事前で低血糖だった、以前の怒りを引きずっていた…etc.)にも起因していますか?
他の原因?あるかなぁ…。
あぁ…まぁ、午前中だったからひょっとして少しおなかが空いていたかも。
でも一番はそいつドンくさいんだよね…。なんていうか…。
挨拶も小さいし、社会人としてだめっていうか…。
4.では、その怒りが起こった原因をまとめてみましょう。
<直接の原因>
・一度教わったことができなかったこと。
<外的要因>
・そもそも、普段から挨拶の声が小さくてイライラする。
・飲みに誘ってもついてこないので可愛くない。
・(ひょっとしたら)おなかが空いていた。
5.その怒りを出すことでのメリットを挙げましょう。
まぁ、怒られたから今度はやらないかなぁ…いや、前回も怒ったのにできなかったからなぁ…
いや、え、じゃ…メリットあんまりないのかな???
6.その怒りを出すことでのデメリットを挙げましょう。
デメリット…
まず、その場が凍った感じになったから、周りの社員はそれを聞いていて「嫌だ」と思ったかもしれないなぁ。
本人も叱られて嫌だったことは間違いない。いや、もちろん、良くなれと思っているんだけど…かわいさがないんだよな、あいつは…
まぁ、仕事が嫌になってきてしまって、さらに業務ができなくなる可能性があるなぁ…。
うーん…怒らない方がいいのかな…?
あ、あと俺が怒ったから疲れたし、その後、なんだろ…無力感みたいなのが出てきたわ…。俺が上司として適任じゃないからこいつが育たないのかなとも思ったし…。
デメリットまとめ
・社内の雰囲気を悪くした
・本人の気分ももちろん害した
・仕事が嫌になってしまうリスク、退社リスク
・より上達しないリスク
・俺自身が疲れ、上司としての不適任感を抱く
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振り返りをしてみる
上記のように、まずは分析をするところから始めます。
さて、どうでしょうか、自分を分析してみて。
怒りを出すことがメリットしかないという人は怒っていてもいいのかもしれませんが、考えてみると結構デメリットが多くて、メリットが小さいことが多いように思う方が多いのではないでしょうか。
そうはいっても、問題は問題だろ?
そうはいっても、ダメなものはダメ、という人が多いと思います。
そこで、少し考えてみましょう。
人間は
「自分と考えが同じ人」を好み
「自分と考えが異なる人」を排除する
傾向にあります。普通に生きているとそうなります。
そこで、こういう領域を考えてみる
「自分と考えが同じ」
「自分と考えは異なるけど、認めることができる」
「自分と考えが異なる(し、認められない)」
つまり、自分と考えが違う人がほとんどだということを認識し、それを認めていく努力をしようということです。
意識して、「考えが異なる人」を受け入れるということです。
実は、人間なんて、本当に同じ考えの人は存在しない
そもそも、人間なんて本当に同じ考えの人など、存在しません。
全く同じではないからこそ、多様性が生まれ、進歩も生まれるのでしょう。
なので、基本的に同じ考えの人はいないと思った方がいいです。
考え方(価値判断)が異なることを知る面白いワーク
それを理解する面白いワークがあります。
ちょっとした「イラッとしたこと」の原因を社内でチーム5人ぐらいずつになって、その原因を書いてもらうのです。全部で10個前後出してもらいましょう。
たとえばこんなのが出てきます。
・挨拶の声が小さい
・食べるときにくちゃくちゃ音を立てて食べる(いわゆる「くちゃラー」)
・デスクの上が散らかっている
・目を見て挨拶をしない
・電話を切るときに受話器をガチャッと置く
・独り言が多い
・夏場、ニオイのケアをしない
・仕事中に余談(おしゃべり)が多い
・仕事中におやじギャグを言う
・時間にルーズ
いま、10個ほどあげました。
たとえば、この10個を、「許せない順」で順位づけしてもらいます。
最も許せないのが10点。一番許せるのが1点。
これで点数付けをして、可視化してみます。
そして、グループでなぜ、それがダメなのか、を話してもらいます。
上記の内容を使っていただいてもいいので、やってみてください。
驚くほど、他人と自分との価値観が違うことに気づくことになります。
大切なのは、違いに気づき、認めること
何が正しいのか、ということに答えはないことが多いです。
たとえば、上記の例でいえば
「挨拶が一番だ」と思っている人もいるでしょうし、逆もいるでしょう。
「おしゃべり」は必要だと思っている人もいるでしょうし、全く不要だと思う人もいるはずです。
つまり、考え方=価値観は異なって当たり前なのです。
人間の怒りは、価値観が違うことで自然発生的に生まれます。
それは、価値観を共有していないことが、昔、人間が生きていた「小集団」の輪を乱すことになったからだと私は考えています。
つまり、その輪を乱すと、人間は生き残れなかったからだと思います。
もちろん、企業としての価値観=ビジョンを共有することはとても大切です。
しかし、普段の仕事においては「ここは譲れる価値観」というのが少なからずあるはずなのです。
挨拶ができない人は、ずっとできないことが多いです。
声が小さい人は、大きくなりません。
この辺はコミュニケーションの得手不得手もあって、苦手な人は苦手なのです。
だから、それが本質的に業務に影響をあたえるわけでないならば、
「価値観は違うけど、認められる」
として、認める領域に引き込んでいくことが大切です。
自分の固定観念に気づくことも
このワークをするといいのは、自分の固定観念に気づくところです。
結局、
人間は人(他人)を変えることはできません。
自分がいかに変わるか、なのです。
自分が変わるには、納得感が必要。
だから、このワークをすることで、
「あいつの考えは俺とは異なるけど、でも認められる」
という領域に進んでいってほしいのです。
それこそが人と人が付き合うことの本質だと私は思っています。
また、機会があればこの感情のコントロールについて書いていきたいと思います。
長い文章を読んでいただきありがとうございます。
更新履歴:2017年7月20日誤字修正
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こんにちは、先日、職場でアンガーマネジメントの講習を講師の方にやって頂いたのですが、実践が多く文章で説明されたものを探しているとこのサイトにたどり着きました。
他の職場にも広げたいと思い、流用したいと思っているのですがよろしいでしょうか?
澤田さま、書き込みありがとうございます。
アンガーマネジメントで検索するとそこそこ上位に来るようで、この記事が
月間35,000ほどアクセスがあります。
さて、「他の職場に流用」というレベルがよくわからないのですが、
もちろん一般常識の範囲内で参考記事として使っていただいて結構です。
改変して使っていただいて社内ワークなどで使っていただいても結構です。
引用文献として、URL入れていただけるとありがたいです。
なお、言うまでもないことですが、
ブログで自分の記事として記載するとかあるいは、書籍で出版するなどはやめてくださいね。
時々、丸々記事がコピーされていたりすることがあるので・・・。
見つけるたびにプロバイダ等にクレームは入れておりますが、、ね。
京野トピオ様
返信ありがとうございます。
同じ福祉事業所の広報に載せるコーナーに引用させていただきたく「他の職場に流用」と書かせていただきました。参考記事として使わせていただきます。
ありがとうございました。