こんにちは京野です。
数日前に、ハウス食品がココイチことCoCo壱番屋を買収するというニュースが流れました。
もともとハウス食品とは資本関係がありました。ココイチのカレーもハウスから仕入れていました。
関係がないわけではなかったのですけど、創業者が完全に株を手放したことに興味があり、すこし今日は書いていこうと思います。
レッツゴー・ウンチキスト!
CoCo壱番屋とは
そもそも、CoCo壱番屋とは、日本で最大手のカレーショップです。
全国に1,260店舗。2位のゴーゴーカレーが200店舗ほどらしいので、圧倒的な大差で1位です。
11年前の2004年に、1,000店舗を達成。
翌2005年には東京証券取引所一部に上場した会社です。
なんでもギネスブックにも、カレーハウスCoCo壱番屋を「もっとも大きいカレーレストランのチェーン」に認定しています。
CoCo壱番屋の特徴
日本でいう、いわゆるカレーショップには大きく分けて2通りあります。
- 本格的な「インドカレー(あるいはタイカレーなども」を出すカレーショップ。
- そして、家庭の味となっている「日本独自のカレーライス」を出すカレーショップ。
高い値段が取れるのはやっぱり本格的なインドカレーやタイカレーなどを出すお店でしょう。
正直、日本独自のカレーライスはあまりにも日常食なので、そこでどうやって自分の強みを出すのか、というのが難しいような気がします。
その難しいような気がする「家庭の味・日本独自のカレーライス」で圧倒的な日本一になっているのがCoCo壱番屋ということになります。
どうして、CoCo壱番屋がそんなに売れるのか?
僕自身、正直あまりCoCo壱番屋には行きません。
カレーがキライなわけじゃありません。むしろカレーは大好きです。
でも、外食してカレーを食べようと思うならば、CoCo壱番屋には行かず、やっぱり本格的なカレー屋さんに行きたくなるのです。
インドカレーで「サグチキンカレー」を食べるのが好きです。
CoCo壱番屋のメニューは
http://www.ichibanya.co.jp/menu/list.html?cid=1
に記載があります。
これを見ても、完全に日常食です。
ちょっとオシャレな、なんて感じはありません。
私が知ったのは1990年頃です。田舎にオープンしました。
その頃のウリが
1,300gカレー
でした。確か20分以内にそれを食べきれば無料、というものでした。
達成すると、ポラロイドカメラで写真が撮られ、掲載されるということでした。
完全に男性向けのお店であり、また、決してお店に清潔感があったとも思いません。(今は清潔ですよね)
しかも、決して安くない。
今の価格を見ても、同様に簡単に食べられる牛丼やハンバーガーなどと一線を画す高さです。
決して原価がそれほど高いわけではなさそうなのに、(というか、むしろ牛丼の方が高そう)、ここに行く理由がなかったのです。
ハマっている人に聞いてみた
そこで、自分の意見だけではしょうがないので、CoCo壱番屋に月に数回足を運ぶ人に
「なぜ行くのか?」
と聞いたが、
「うーん、無難にうまい」
と言っていました。驚くような感動があるわけではない。
でも普通にうまいから、カレーが食べたい日にフラッと立ち寄ってしまう。
そんなことを言っていました。
いずれにせよ、収益性の高いモデルを構築
創業者は夫婦の宗次徳二さんとその奥さん直美さん。
以前、カンブリア宮殿に、出演されているところを見たことがあります。
完全に、おっちゃんとおばちゃんが「自分のポリシーで会社を運営」という印象でした。
フランチャイズ展開でお店を増やしていきますが、しっかりと店を運営できるとオーナー2人がOKを出さないと、独立させないとか、店舗に行って清掃ができていないと、奥さまが怒り出して自分で清掃を始めるとか。
徳二さんの方はどちらかというと物静かな印象でした。
友達も作らず、1円の飲み代も経費で使わず、年間5,000時間働くという徳二さん。
その甲斐があって、今では売上高連結で272億、純利益が27億円。
純利益率が10%という、飲食業界では驚異的に高利益体質のチェーン店をつくりあげました。
今では、アメリカ、台湾、中国、韓国、タイにも店舗があります。
創業者の理念が店舗に反映されている
ありきたりの素材
ありきたりの味
ありきたりの店舗
でも、ダントツ日本一。
食材にそれほどこだわっているわけでもない。
驚くような味でもない。
今では清潔感はあるが、他と差別化できるほど綺麗な店舗でもない。
安いわけでもない。
何が成功要因なのか。
結局は、言葉にしにくい運営側の経営センスの問題なのかもしれない、と思い始めています。
「経営はセンスだ」という主張
これまで経営理論について私は色々学んできました。
理論ということは、体系化できるものであり、再現性があるものが理論と言えるわけです。
学者は成功者の事例を集め、体系化することで、それを再現できるようにするのが学者の仕事です。
それで経営学という学問もできました。
の、はずなのに、最近楠木建とうい人の著作を読んだら、
「経営はセンスだ」
と言い切ってはばからないんですよね。
これって、本当に言うのに勇気がいることだと思います。
だって「学んだって無理だよ。センスだから」ということを言っているわけですから。その人の本が売れるわけがない。
「経営はスキルだから学べますよ」
の方が本は売れるわけです。
CoCo壱番屋の経営者の凄さはどこにあったのか。
1日1,000枚のアンケートにすべて目を通す社長の顧客重視主義だとか、年5,000時間働く、つまり率先垂範だとか、創業者が店舗で自ら掃除を始めるほどクリンリネスが大切だとか、色々学者が体系化できそうな特徴はあるにはあります。
だけど、やっぱり必要なところで必要な施策を打てる、そして利益が十分出ているうちに、身売りして、自分が死んだ後のことも考える。
完全に株を手放すそうで、創業者は身を引くそう。
見事な引き際。ここまで計算されたものなのか。
創業者は思い入れがありますから、手放すなんてなかなかできないものだと思うのですけどね。
やっぱりセンスなのかもしれない、と思っています。
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