【なぜ?】東大が推薦入学を始めた理由

toudai

東大が推薦入学を始めましたね。2月19日、その合格者が発表になりました。

合格された77名の方、おめでとうございます。

今年は100名定員の中、173名が出願、1次選考に149名が合格。
最終合格はその約半分で77名が合格ということで定員割れでした。

http://cdn.pr.u-tokyo.ac.jp/content/400038684.pdf

文科一類 15
文科二類 4
文科三類 8
理科一類 32
理科二類 16
理科三類 2
=========
合計   77

これより甘くなることは今後ないでしょうから、初年度チャレンジした人は吉だったということでしょうか。

東大が推薦入試を始めた理由

募集要項

http://www.u-tokyo.ac.jp/content/400035145.pdf

===引用ここから===

東京大学推薦入試のアドミッション・ポリシー

東京大学の使命と教育理念

1877 年に創立された我が国最初の国立大学である東京大学は,国内外の様々な分野で指導的役割を果たしうる「世界的視野をもった市民的エリート」(東京大学憲章)を育成することが,社会から負託された自らの使命であると考えています。このような使命のもとで本学が目指すのは,自国の歴史や文化に深い理解を示すとともに,国際的な広い視野を持ち,高度な専門知識を基盤に,問題を発見し,解決する意欲と能力を備え,市民としての公共的な責任を引き受けながら,強靭な開拓者精神を発揮して,自ら考え,行動できる人材の育成です。そのため,東京大学に入学する学生は,健全な倫理観と責任感,主体性と行動力を持っていることが期待され,前期課程における教養教育(リベラル・アーツ教育)から可能な限り多くを学び,広範で深い教養とさらに豊かな人間性を培うことが要求されます。この教養教育において,どの専門分野でも必要とされる基礎的な知識と学術的な方法が身につくとともに,自分の進むべき専門分野が何であるのかを見極める力が養われるはずです。本学のカリキュラムは,このように幅広く分厚い教養教育を基盤とし,その基盤と有機的に結びついた各学部・学科での多様な専門教育へと展開されており,そのいずれもが大学院や研究所などで行われている世界最先端の研究へとつながっています。

期待する学生像

東京大学は,このような教育理念に共鳴し,強い意欲を持って学ぼうとする志の高い皆さんを,日本のみならず世界の各地から積極的に受け入れたいと考えています。東京大学が求めているのは,本学の教育研究環境を積極的に最大限活用して,自ら主体的に学び,各分野で創造的役割を果たす人間へと成長していこうとする意志を持った学生です。何よりもまず大切なのは,上に述べたような本学の使命や教育理念への共感と,本学における学びに対する旺盛な興味や関心,そして,その学びを通じた人間的成長への強い意欲です。そうした意味で,入学試験の得点だけを意識した,視野の狭い受験勉強のみに意を注ぐ人よりも,学校の授業の内外で,自らの興味・関心を生かして幅広く学び,その過程で見出されるに違いない諸問題を関連づける広い視野,あるいは自らの問題意識を掘り下げて追究するための深い洞察力を真剣に獲得しようとする人を東京大学は歓迎します。

推薦入試の基本方針

東京大学の推薦入試は,学部学生の多様性を促進し,それによって学部教育の更なる活性化を図ることに主眼を置いて実施します。実施に当たっては,日本の中等教育における先進的取組を積極的に評価し,高等学校等の生徒の潜在的多様性を掘り起こすという観点から,日本の高等学校等との連携を重視します。推薦入試による選抜に当たっては,本学の総合的な教育課程に適応しうる学力を有しつつ,本学で教育・研究が行われている特定の分野や活動に関する卓越した能力,もしくは極めて強い関心や学ぶ意欲を持つ志願者を求めます。東京大学は,推薦入試で入学した学生が,東京大学,ひいてはグローバル社会の活力の源として活躍することを期待しています。

===引用ここまで===

繰り返しになりますが、下記が期待する学生像ですね。

「東京大学の推薦入試は,学部学生の多様性を促進し,それによって学部教育の更なる活性化を図ることに主眼を置いて実施します。実施に当たっては,日本の中等教育における先進的取組を積極的に評価し,高等学校等の生徒の潜在的多様性を掘り起こすという観点から,日本の高等学校等との連携を重視します。」

ふーむ、「高校学校等の生徒の潜在的多様性を掘り起こす」
ですか。

潜在的多様性とは何でしょうかね。

潜在的というのは、表にみえていないけど、実は内に持っているものということでしょう。

多様性というのは、最近流行の言葉でいうダイバーシティーですね。
人は多様性があるからこそ価値があり、その多様性を認めていこうという流れです。
LGBTもその流れの一つで認知されているように思います。

なぜ、「潜在的」な「多様性」を掘り起こす必要があるのか?

日本は画一的な教育で判で押したような教育が批判されてきました。
想像力に乏しく、企業に入ると予定調和。

Apple創業者のようなスティーブ・ジョブズのような人間は日本では誕生しないと。

「型にはめすぎ」な教育がその多様性を摘む結果になっていると。

だから、「受験」という一つの型にはめるのではなく、そこから弾かれるような人であっても、才能があると認められる人に関しては、推薦での入試を認めようと。そういう流れなのだと思います。

考えたら「AO入試」もそんな感じでしたね。

考えてみれば、もう25年まえに慶應大学が始めたAO入試。
Administrations Office(入学管理局の意味) 入試でAO入試らしいのですが、この趣旨も似ているでしょうね。

学科試験の成果で合否が決まるのではなく、内申書、活動報告書、志望理由書、面接、小論文などで生徒の個性や適性に対して多面的に評価をして合格者を選抜する、という。

数学オリンピック、弁論大会、あるいはセンターでの足切りなどがあるところもあります。

ただ、このAO入試は大学の学力低下につながっている一つの要因だと中央教育審議会(中教審)が危惧していると言われています。

今後の「高大接続テスト(仮称)」を実施すべきという検討もなされている中、東大でこれを始めたということなのでしょうか。

東大の選抜方法を確認してみる。

合否判定は,提出書類・資料の内容,面接等の審査結果及び大学入試センター試験の成績を総合的に評価して行います。

なるほど、「センター試験」がある程度の歯止めなのですね。
さらに読むと…

「大学入試センター試験は,入学後の学修を円滑に行い得る基礎学力を有しているかどうかを判断する観点から,概ね8割以上の得点であることを目安とします。」

まあ、東大なら8割程度はね。
長崎大学の医学部も8割を足きりにしているということでした。

あとは「推薦要件が下記の3つ」

○  学部ごとに定める推薦要件(10~31ページ)に該当し,当該学部の学問分野に対する強
い関心及びこれを本学で学ぶ積極的な意欲を持ち,学校長が責任をもって推薦できる者

○  合格した場合,必ず入学することを確約できる者

○  平成28年度大学入試センター試験のうち,志望する学部が指定する教科・科目のすべて
を受験する者

2番目は当たり前。

3番目がある以上、基本的に東大を目指していていた人が得点が足りないという場合に使われているのが実際かもしれないですね。

1番目は、学部によって異なります。ちなみに、法学部(文科一類)だけちょっと見てみましょう。

==推薦要件・必要書類:ここから==

推薦要件

(1)学業成績に秀でていること。(各校の上位概ね5%以内)
(2)現実の中から本質的な問題を発見し,独創的な形で課題を設定する能力を有すること。
(3)問題の解決に向けてイニシアティブを発揮できること。
(4)異なる文化的背景や価値観を有する他者とのコミュニケーション能力に優れていること。

必要書類・資料

各学部共通に求める調査書等のほか,志願者が本学部の推薦要件
に合致することを具体的に証明する資料※a。例えば,
(1)在学中に執筆した論文で,志願者の問題発見能力・課題設定能力を証明するもの※b
(2)社会に貢献する活動の内容を具体的に証明する資料(表彰状,新聞記事等)
(3)留学経験など,志願者が異なる文化的背景や価値観への理解を有することを示す資料(留学の事実を証明する資料,外国人との交流や支援活動を行ったことを示す第三者の推薦状など)
(4)国際通用性のある入学資格試験における優秀な成績を証明する資料(国際バカロレア,SAT など)
(5)外国語に関する語学力の証明書(TOEFL,英検,IELTS,TestDaF,DALF,HSK など)などです。

==推薦要件・必要書類:ここまで==

推薦要件の(1)はまぁ、東大ならそんな感じかなという感じ。
(2)(3)の証明が肝ですね。
(4)は、英検やTOEFLの出番でしょう。

ポイントは(2)(3)だとすると、学生中に、問題発見・課題設定をして何らかの発見をしているとか、そういうものがあるといいですよね。
社会貢献でもいいと書いてありますから、それこそ「渋谷のゴミ拾いをするギャル」みたいなのもいいのかもしれません。
新聞に掲載されたり、区から表彰されたりなどもあるといいですね。

つまり、

  1. ある程度優秀で
  2. 英語は留学したことがあるのが望ましく、TOEFLなどの点数も必要。
  3. その他、社会に認められるような大きな貢献とか、課題発見など

の3つがポイントなのでしょうね。
その課題発見能力があれば大丈夫かもしれません。

たとえば、

  • 廃材の再利用の技術開発・商品開発とか、
  • 若者のベンチャー支援の為の仕組み作りとか、
  • マイノリティが活躍できる仕組み作りとか、
  • 捨て猫・捨て犬などの里親制度の構築とか、
  • 学校に行けない子どもたちにオンラインで勉強を教える仕組み作りとか、
  • 老人を学生が介護する代わりに学生は家に住めるとか、相互依存の仕組み作りとか。

ネットを使ったり、アイディアがあればマスコミが取り上げそうなものは沢山ありそうです。
単に「ボランティアに参加」ではリーダーとしての資質がわからないので、

これまで誰もやっていなかったようなもの、つまり「新規性」があり、その問題解決が非常に重要なテーマの解決になったりすれば、その価値があると思われる可能性があります。

まぁ、私も思いつきで書いていますけど、考えたらビジネスプランは100個ぐらい出てきそうな気がします。

入学してからどうか?

入学してから、勉強についていけないとか、そういうことはないでしょう。
少なくてもセンターでは8割取っていますし、もともと学校の上位5%に入っているわけですから。
遊んでいる東大生でも卒業している人は多くいるわけですし。

ただ、やっかみみたいなモノはあるかもしれません。

余談ですけど、1ヶ月位前でしょうか、私はTBSラジオの
「安住紳一郎の日曜天国」
というラジオ放送が好きで良く聞きます。

PODCASTでも聞けますので、ぜひ一度聞いていただくと面白いと思うのですが、その中で安住紳一郎アナウンサーが本当に屈折しているんですよね。ひねくれている。自分も認めていますけど。

それで、

「私は一般受験でとても苦労したので、推薦で学校に入った人、特に指定校推薦で学校に入った人を心の底では、絶対に許していません」

「その人たちには、じゃんけんでも負けたくない」

「一緒に仕事をする人には、さりげなく確認している」

「指定校推薦のヤツを、社会人になってからチクチクチクチクやっている」

と。

詳しくは下記のエピソードを聴いてみてください。無料です。24分頃からです。

2016.01.17「中二病をひきずりながらまもなく更年期のおじさんの気持ち」

https://itunes.apple.com/jp/podcast/zhu-shen-yi-langno-ri-yao/id260660923?mt=2&i=360815421

 

まぁ、そういう人は多くはないにしても、推薦入学ってなんかそういう風に見られるものではあるようです。
入学してから別にそんな、「俺は推薦で入った」なんて言わなきゃわからないのでしょうけどね。

東大入学希望者は選択肢としていいのでは

とはいえ、東大入学希望者は選択肢として考えるのはいいと思います。
大学で評価が決まる時代はもう変わりつつありますから、あまり大学にこだわりすぎるのはどうかと思いますけど、それでも周りはまだ東大は一目置きますし、ブランドがまだ生きますからね。

今後は日本も入るのは難しいけど、卒業が簡単なので、逆になるといいと思います。
堀江貴文氏が言うように、全員が希望した大学に入れればいいんじゃね?というのもわからないでもないです。

もっとも、合格者数はMAXで100名。結構狭き門ですけどね。

ちなみに、東大の平成27年の合格者数は下記の通り

=====

文科一類 401(33%)※括弧内は受験者数に対する合格者数

文科二類 353(33%)

文科三類 479(34%)

理科一類 1,128(41%)

理科二類 547(29%)

理科三類 100(26%)

合計   3,008

理科一類だけが突出して合格者数が多いですが、合格率も高いんですね。

=====

 

合格の瞬間はいいなぁ。
それにしても、まだ胴上げは中止してるんですかね。

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