5月3日 今日のネタ|最高法規としての日本国憲法

伊藤真先生

司法試験🐚のカリスマ 伊藤真先生の著作

 

今日は憲法記念日ですね。
ゴールデンウィーク真っ盛り。皆さんはいかがお過ごしですか?

今日は憲法記念日ということで、日本国憲法について、意外にオトナも知らないネタを書いていきたいと思います。

レッツゴーウンチキスト!

今日は憲法の交付日?施行日?

日本国憲法は1946年11月3日に、公布され、翌47年に施行されました。5月3日は、施行記念日ですね。
ちなみに、憲法記念日が祝日になったのは施行翌年の1948年からです。

いまさら公布と施行の違いは何?

・公布(こうふ)→「お披露目」のこと。「この法を今後使うよ」と知らしめること。

・施行(しこう)※注1→実施すること。施行日からその方が運用開始されること。

なお、法律では、公布と同日に施行されることもある。それを「即日施行」という。

※注1
「施行」や「施工」は、「しこう・せこう」どちらが正しいのかという質問が届いた。
文化庁「言葉に関する問答集」は、法律方面で「執行(しっこう)」と区別するため施行(せこう)」と読む慣用があるという。大抵の辞書で「せこう」の項はあるものの、「しこう」を参照としている。施工(せこう)は日本国語大辞典に「工事関係者などの慣用読み」とあるが、こちらは土木・建築関係の学術用語集で〝公認〟されている。
「正しさ」の判断は難しい。誤読や俗用も広く通用するうちに市民権を得る。消耗(しょうこう)が廃れ消耗(しょうもう)が一般化した例もある。文化庁が04年に、読み方について世論調査をしている。施策(しさく)・施策(せさく)は67%対26%と本来の読みが優勢だが、重複(ちょうふく)・重複(じゅうふく)では20%対76%と伝統的読みが劣勢だ。
NHKでは「施行(しこう)」「施工(せこう)」と読み分けている。NHK放送文化研究所によると、新しい読みや用法は、辞書調査や世論調査などで各年代への浸透度や許容具合を調べ、聞いてわかりやすいかなども検討し、扱いを決めるという。(谷美津留)
出典:朝日新聞ことば談話室

最高法規

そもそも、憲法と法律と区別がわからないという人が結構います。どこが違うのでしょうか。

憲法=日本国の基本法であり、「最高法規(10章)」
法律=憲法に基づいて作られたルール。よって憲法にそぐわない法律は無効
→判断するのは裁判所。法律が合憲かどうかが争われる事がある。

「この憲法は,国の最高法規であって,その条規に反する法律,命令,詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は,その効力を有しない」 (98条1項) と定めているが,憲法が最高法規であるのは,成文の硬性憲法である以上当然のことである

なぜ、明文化されているのに、合憲かどうかわからないの?

憲法にせよ、法律にせよ、一般化して書かざるをえないために、細かい解釈が必要になる場合があります。

例えば、殺人罪でいうところの「人を殺す」とはどういうことなのか。直接手を下さなければいいのか(例えば、訓練された犬で気に入らない相手を殺す)とか、その場で死んだら殺人だけど、少し経って(3時間とか24時間とか1週間とか1ヶ月とか1年とか)死んだら殺人といえるのかとか、人が死んだという判断に脳死は含むのかとか。いろいろあるわけですよね。

そういう時に、裁判所がその憲法や法律の立法趣旨を踏まえて、「この法律が規定したもの、保護すべき法益は○○だ」というようなことで、裁判所が判断するわけです。

驚愕!憲法を守るべき義務は国民にはなかった!!?

意外に知られていませんが、実は我々国民は、憲法を守らなければならないという義務はありません。
憲法を尊重し、擁護する義務のことを「憲法尊重擁護義務(けんぽうそんちょうようごぎむ)」といいます。

日本国憲法は「最高法規」の章のなかで,憲法の最高法規性を確保するために,天皇をはじめ国務大臣,国会議員,裁判官その他の公務員に憲法を尊重し擁護する義務を課しており (99条) ,新しく公務員になった者は法律上,憲法尊重擁護の宣誓を要求されている。

憲法を守らなければいけないのは、天皇、そして、国務大臣、国会議員、裁判官、その他の公務員です!

なので、思い出してください。
私達が守るべきは、法律です。

法律をまもらないと捕まることもあります。殺人罪だと刑法199条に抵触するので逮捕されます。
あるいは堀江貴文氏・ホリエモンが逮捕された「有価証券報告書の虚偽記載」は金融商品取引法の197条に抵触します。

そう、法律は守らないといけない。でも、憲法違反で捕まったことってありますか?

憲法20条違反で逮捕する!

とか。
ありませんよね。

そう、我々国民は、この憲法に反することを考えることも許されているのです。
じゃなきゃ、憲法改正なんて話、高らかに議論できませんよね?

憲法はそもそも、国家権力を縛るもの

そもそも、憲法とは国家権力を縛るものです。
権力は一箇所に集中させないと、それぞれに対して権利を勝ち取らないとならないので、不都合が生じます。
なので、国家権力という一つに権力を集中させます。

ただし、権力は集中させると「濫用」の危険が生じる。
なので、三権分立でそれぞれを牽制できるようにするわけですね。

国家権力を縛るもの、それが憲法です。
憲法とは何のために存在するのか。それは、

「国家権力の濫用を抑制し、国民の権利自由を守るもの」

なのです。

憲法を個人間で守らなくても、いい!?

じゃ、じゃぁ、法の下の平等(憲法14条)とか、表現の自由(憲法21条)とか守らなくていいんだ?

個人間で憲法違反を行った時に、直接それを根拠に逮捕されることはありません。

もちろん、国家権力が行った場合には国に賠償請求することはできます。

それとはまた別に、たとえば国家権力と近い権力を持つ組織、例えば会社には、その考え方を適用してもいいだろうと考えられています。それを私人間効力(しじんかん こうりょく)といいます。

ただ、憲法違反を理由に会社を訴えることはできず、あくまで「公序良俗違反(民法90条)などの解釈の際に、憲法の趣旨を踏まえる」というのが裁判所の判断です。

つまり、「公序良俗違反」って言われても、そもそもコウジョりょうぞくって何さ?ってなるので、その時に「平等に社員は扱われるべきだ」というような解釈を入れるってことですね。

憲法改正はされるのか?

憲法は現在、改正論議も進んでいますよね。
本来、憲法改正をしないといけないのですが、日本の憲法は1945年に公布されてから一度も変わっていません。
硬性憲法といって、改正のための手続きが厳しいのです。

まず、国会議員の2/3以上の賛成がないと、改正のための発議すらできません。
そして、国民投票にかけて、過半数の支持がないと改正できません。

このあたりは厳しいですよね。
そもそも発議がキツイ。
常に与党と争う野党を含めて必要性が迫ってこないとダメですからね。

なので、「解釈」を変えてしまおうというウルトラCですね。
でも解釈を変えるというのは、本来行政府の内閣がやることではありません。

これが許されると、あらゆることに時の政権の思惑通りに恣意的な運用がされることになり、それでは民主的に立法を我々がやっている趣旨が毀損されるからです。

さて、話が長くなりました。おすすめの本です。

憲法についておすすめの本

司法試験界のカリスマ伊藤真先生の「憲法入門」です。
伊藤真先生のすごいところは、難しいことを誰でもわかるように伝えてくれるところなんですよね。

わかりにくい時はマンガから入りましょう

勉強法を学びたい時には

こちらもわかりやすい本です。
日本で最難関の「司法試験」を目指す人を教えてきた伊藤先生だからこそ知っている学習法。

今日は憲法についていろいろ書きました!