原丈人氏の公益資本主義とは?講演聞いてきたよ

写真:Amazon「増補 21世紀の国富論」プロフィール写真より

jojihara2

こんにちは!
今日は日本初の新しい「資本主義」である「公益資本主義」という概念について講演を聞いてきました。

とてもいい話だったので、今日はこの「公益資本主義」について書いていきます。
レッツゴー・ウンチキスト!

公益資本主義とは?京野の解釈

おことわり:あくまで、私が聞いてきた内容をまとめたものなので、間違って理解している可能性があることをご理解ください。京野がこう解釈したという公益資本主義です。

言葉の定義

公益資本主義とは、原丈人(はら・じょうじ)氏が提唱する、日本発の「社会的な」資本主義の考え方。

「株主資本主義」と対比されるもの。
つまり、株主資本主義は、会社は株主のものだから、株主の利益のみを優先させようという考え方であるのに対し、この「公益資本主義」はこんな特徴があります。

公益資本主義
・企業は社会的存在で、ステークホルダーみんなのもの
・ステークホルダーは「利害関係人」と訳すのは間違い
・ステークホルダーとは、仲間、言ってみれば「社中」

多分、簡単にいえば、これだけなのだと思います。
日本人にとって、とても受け入れやすい考え方だし、特別新しい概念ではないと思います。

松下幸之助さんが「企業は社会の公器」と言っていましたよね。
企業は個人のものではなくて、社会のものだと。公益資本主義も同様の考え方です。

参考)企業は社会の公器である
http://panasonic.co.jp/history/museum/tokubetsuten/2008/pdf/2008_1_j.pdf

社会の役に立たないものは、社会の中に存在できない、そういうことなのでしょうね。

アメリカン航空、やっぱりおかしいだろ!

たとえば、下記の事例を皆さんはどう捉えますか?

2008年に航空機業界が不況になりました。
経営陣が会社をつぶさないためにと、従業員に対して給与の削減を迫ったことがあったんですね。

「会社が潰れてしまっては困るだろう?」
「転職もこの不況じゃできないだろう」

と迫るわけです。

従業員たちは「会社が潰れてしまっては困るしな…」と、しぶしぶその要求をのむことにしました。

そうして、削減できた額が340億円。

このあと、この経営陣がしたことはなにか。
驚くなかれ、自分たちに「200億円」のボーナスを支払うことでした。

そんなの、企業統治上、すなわちコーポレート・ガバナンス上問題ないのか?
「会社は株主のもので企業の価値をあげた経営陣にボーナスを与えるのは問題ない」
と判断されたと。少なくともアメリカン航空の社外取締役はそうお墨付きを与えたというのです。

すなわち、社員への支払い給与は、会社にとっての「負債」だと。
負債を減らした経営陣は評価されて当たり前だろ?という考え方です。

これが、アメリカの考え方だというのです。

こんな株主資本主義がまかり通る世の中が間違っている

この株主資本主義、ひいては金融資本主義。
これが、引き起こすのが金融危機だと。

金融危機が引き起こされる理由は、株主以外のことを考えない考え方が生み出すものだと。
株主以外どうなったっていい、100人いれば株主以外の99人は損をしてもよいというゼロサムゲーム。

金融の本質はゼロサムゲームだと。
誰かが損をしたら、誰かがトクをする。博打と一緒。

株主は儲かるが、社会が損をする。社会に対しての貢献がない。社会に対しての還元がない。
お金持ちはいるが、社会はどんどん荒れる。それではダメだと。

だから、公益資本主義に移行すべきだということです。

新しい判断基準の創設

じゃ、どうするか?

たとえば、ROEという指標があります。
Return on equityの略で、自己資本利益率というものです。
株主による資金、すなわち自己資本が、企業の利益にどれだけつながったのか、という指標です。

ROE(株主資本利益率)=1株あたりの利益(EPS)÷1株あたりの株主資本(BPS)

これは、会社を評価するための基本的な指標ですが、こういう指標がまかり通っているから、おかしくなるんだ、この基準を変えていこうよ、というのが原丈人氏の考えかたであり、公益資本主義です。

原丈人氏は目的のために、手段を厳選し、ひたすら実行される方のようです。

「世の中を変えるためには、仕組みを変えなければならない」
「仕組みを変えるには、政治に入り込まなければならない」

と考え、内閣府の参与となっているそうです。

公益資本主義を、日本国の向かうべき資本主義のあり方にしていくということですよね。
いや、一言でそう書いちゃうと簡単そうですけど、できないですよね、なかなか。

投資から投機へ変わってきた

本来、株主とは会社を応援するサポーターであるべきともおっしゃっていました。
1960年代ぐらいまでは、株主は株を平均して8年とか保有していたんですね。

(ニューヨーク証券取引所のデータ。スライドで掲示されたが、撮影不可だったため、内容は間違っている可能性があります)

しかし、儲かるかどうかだけで判断されるようになっているから、今は、数年、数ヶ月、いや、コンピュータでの自動取引までされるようになっているから、いまは保有期間の平均は数秒かもしれないと。

そんな株主のあり方が本当に良いのだろうか、そんなわけないだろうと。

東レが炭素繊維受注、1兆円の話

例えば、去年11月に東レが米ボーイング社から航空機向けの炭素繊維を、1兆円分受注すると発表しましたよね。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17HUX_X11C14A1TJ1000/

これって、社長が目先の利益をみていたら、達成されるものではなかったと。
30年、60年と研究を積み重ねてきて、その結果である果実を享受しているのだと。

つまり、東レは公益資本主義の考え方でやってきた会社だからこそ、うまくいったという事例だと紹介されていました。

株主資本主義では、短期間でのリターンが求められるから、研究所などバカらしくて持たなくなる。そもそも、資産を持たなくなる。

「リース」「ファブレス」などが流行ったのは、この株主資本主義偏重の時代を反映しているのだと、原氏はいいます。

だけど、短期間の果実ばかりを考えていたら、だめなんだと。

iPS細胞の山中教授と親しくされているようでしたが、このような医療は基礎研究から何十年もかけて実用化されるので、これも公益資本主義で見ていかないと駄目になるというお話でした。

うーん、公益資本主義、あたりまえだけど、大事。
そのための仕組みをつまり、社会に対してどのような価値をもたらしているかの基準を作り、それが会社を見るための指標と変わるように動き出しているんですね。

原丈人さんってどんな人?

引用:http://biglife21.com/society/6620/

原丈人(はら・じょうじ)氏…1952年大阪生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、考古学研究を志し中央アメリカへ渡る。スタンフォード大学経営学大学院、国連フェローを経て同大学工学部大学院を修了。29歳で創業した光ファイバーのディスプレイメーカーを皮切りに、主に情報通信技術分野で新技術を創出する企業の育成と経営に注力。ボーランドをはじめ十数社を成功に導き、シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタリストに。自ら会長を務める事業持株会社デフタ パートナーズは、PUCというコンセプトのもとに技術体系を構築し、ポスト・コンピュータ時代の新産業を先導するだけではなく、新技術を用いた途上国の支援など幅広い分野で積極的な提言と活動を行っている。国連政府間機関特命全権大使、アメリカ共和党ビジネス・アドバイザリー・カウンシル名誉共同議長、ザンビア共和国大統領顧問、首相諮問機関の政府税制調査会特別委員、財務省参与を歴任。現在、デフタ パートナーズグループ会長、アライアンス・フォーラム財団代表理事、公益財団法人 原総合知的通信システム基金評議員、内閣府参与。

プロフィールみるだけで、本当にすごい。必要なことを明確にして、実際に動く方です。

今日は、公益資本主義について書きました。
著書も販売していたので、購入してきました。

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